不眠症とは
布団の中で寝返り打って、羊を数えて、1匹、2匹・・・、嗚呼、もう100匹なんですけどぉ~、なんて経験、誰にだって一度はありますよね。
でも、自分が『不眠症』だなんて思った事がある人は、そう多くはないのでは?実は、不眠症は国民の5人に1人はその症状を訴える人がいるほどで、もはや国民病といってもいいほどのものです。
それでは、一体どんな症状が不眠症というのでしょうか。
・入眠障害
布団に入っても寝つきが悪く、すんなり眠る事が出来ない。
眠るのに30分~1時間以上もかかってしまう場合。
不眠症を訴える人の一番多いケースです。
単に、眠れない日が1日あっただけでは入眠障害とは言わず、布団に入っても1時間以上眠れない症状が1週間以上続いた場合に入眠障害と言います。
・中途覚醒
睡眠の途中で何度も目が覚めたり、再び眠るのに時間がかかる場合。
日本人成人の15%の人が、この中途覚醒で悩んでいると言われています。
特に中高年に多いようです。
・早朝覚醒
朝早く目覚めてしまい、そのあと眠れない場合。
年をとってからの生活習慣により、朝早く目覚めてしまうものや、熟睡感のある場合にはあまり心配はいりません。
・熟眠障害
眠りが浅く熟睡できない、目覚めても頭がはっきりしない、疲労が回復できない場合。
いびきや、睡眠時無呼吸症候群が原因の場合もあるので、誰かに確認してもらいましょう。
以上、4つの症状が、「週3回以上、1ヶ月以上継続している場合」に不眠症と判断されます。
どうですか?単純に、眠れないだけが『不眠症』ではないんですね。
不眠症が続くと
不眠症が続くと、人は一体どうなるのでしょうか?「眠くて、学校とか職場で居眠りするだけじゃないの」なんて、軽く考えているそこのあなた。
いえいえ、実は不眠症には、もっと深刻な問題が潜んでいるんですよ。
まず最初はわかり易く、体調に変化が表れます。
慢性的に体がだるく、疲れが抜けない、頭がボーとして集中力もなく、全くやる気が出ない。
倦怠感のかたまりですね。
頭痛やめまいがしたり、視力が悪くなったり、食欲がなく胃腸の調子が悪いのも、寝不足によるものでしょう。
体に力が入らず、足腰がフラついたりしたら、それこそ大怪我のもとです。
体が不健康なんですから、もちろん心も不健康になって行きます。
思考がどんどんマイナスになり、意味も無く将来が不安になったり、些細な事でくよくよと後悔してみたり。
被害者意識が強くなり、常にイライラして家族や周りの人間にあたり散らして。
こうなるともう、日常生活もままならない状態なので、単なる寝不足だとは言ってられなくなりますね。
このように、最初は軽く「ちょっと眠れないだけ」と考えていたものが、慢性的な倦怠感を感じるようになり、「眠らなきゃ、眠らなきゃ」と、どんどん自分を追い込んでしまい、さらにはその事がストレスを増大させてしまうと言う、負のスパイラルと化し、精神的な悪循環に陥り、不眠症がますます深刻化していく結果となります。
こうなってしまうと、不眠症の治療自体が困難なものとなってしまう恐れがあるのです。
病院に行っても不眠症が治らない
眠りたくても眠れない、慢性的な倦怠感が続き、自分が『不眠症』だと自覚して、専門医の元を尋ねたあなた。
勇気ある決断ですね。
これでやっと、心地よい眠りが手に入ると、ホッと一息ついたところでしょう。
だけど、ちょっと待って下さいね。
そこで処方されるお薬は、精神安定剤や睡眠導入剤だと思われますが、薬には全てに副作用があると言う事を覚えておいて下さい。
専門医により処方されたお薬が、あなたに必ず効くとは限りません。
薬を飲む事により、かえってだるさが残ったり、睡眠後の眠気やふらつきがある場合もあります。
場合によっては、「睡眠薬を飲んでも眠れない」と余計に精神的に自分を追い込むきっかけにさえなるかもしれないのです。
眠れない原因は、千差万別、人それぞれ違います。
何か仕事や家庭で、どうしても我慢できない事はありませんか?親しい人が亡くなったりして、悲しい想いを引きずってはいませんか?もし、強いストレスのせいでぐっすり眠れないのであれば、いくら薬を飲んだからと言って、その根本的な原因が解消されないと、不眠症の改善も難しいでしょう。
まずは、あなたの不眠の原因を探ってみましょう。
そして、その原因が見えてきたら、今度はその原因と真剣に向き合って下さい。
その上で、専門医と十分に相談し、納得してから、治療や環境の整備を整えることが大切です。
くれぐれも、病院に行ったからと言って、すぐに不眠症が治ると安易に考えないで下さいね。