歯周病の治療方法の種類
歯周病の治療には、大きく分けると三種類のものがあります。
一つは、ルートプレーニングや歯周のクリーニングです。
歯科で定期的にこびりついた歯垢や歯石を除去し、同時に家庭でも徹底したブラッシングを行います。
これは、軽症の場合にのみ行える処置です。
二つ目は、薬を使う方法になります。
投薬によって歯周に起こる炎症を抑えたり、細菌を殺菌するという治療法です。
この二種類の治療法で症状が治まらない場合や、あまりに症状が重度の場合は、手術を行わなくてはなりません。
手術となると、それなりにリスクもあります。
それに、メスを使うとなれば、やはり少しは恐怖心が生まれるものではないでしょうか。
この病気は、初期の段階ではこれといった症状がありません。
よほど重くならなければ、痛みすら感じないままのケースもあります。
しかし、放置しても勝手に治るわけではなく、じわじわと知らぬ間に悪化の一途を辿ります。
しかも、手術をしても、完全に元通りとはいきません。
リンゴをかじると血がでるという方は、面倒がらずに一度歯科医院を訪れてみてください。
歯周が正常なら、リンゴをかじった程度で出血するのはかなり珍しい事です。
歯周病の初期の治療は、痛みもほとんどなしに行えますし、何事も早期発見・早期治療が一番です。
将来、歯がなくなってもかまわないといわれるならば放置してもいいと思いますが、そのような方はかなり少ないでしょう。
どんなに高価な入れ歯なども、自前の歯には敵いません。
一生おいしく食べるためにも、先延ばしにしないで、診断や治療を受けましょう。
歯周病が進行するとどうなる
歯周病の進行には、大きく分けると四段階あります。
まずは、健康的な歯周。
歯茎は綺麗な桃色で、歯周ポケットはありません。
歯磨きをしても全く出血しませんし、リンゴを噛んでも血なんかでないのです。
次に、軽度の歯周病。
歯茎が少し赤みがかってきます。
歯磨きの時に血がでたり、リンゴををかじったら血がにじむという症例が多くあります。
痛みはまだあまりありませんが、この段階で治療を開始できれば治りも早いでしょう。
それが進行すると、中度の歯周病になります。
ぽってりと歯肉が腫れてきますし、細菌が毒素を発生するので、臭いもでてくるのです。
さらに、歯が浮いたような感覚になったり、歯周ポケットが大きくなって、歯がぐらつきだします。
骨も溶けだすので、早急に治療を開始する必要があります。
それでも放置すると、重度の歯周病になるでしょう。
ここまでくると、見た目にもかなりの変化が出てくるはずです。
まず、歯茎はどす黒い色になります。
しかも、歯茎が痩せこけてしまうので、普通は隠れている部分まで歯がむきだしになって、異様に歯が長くなったようにみえます。
歯茎はブヨブヨと完熟末期のトマト状態になりますし、歯は触るだけでぐにゃぐにゃと動くでしょう。
歯周ポケットが開ききっているので、食べかすも詰まり放題です。
ここまで歯周病が進行すると、総入れ歯まではあと一歩というところです。
歯周病をずっと放置し、重度まで進行してしまったら、治療ができない状態になってしまう事もあります。
なるべく早期に発見して治療を開始することが大事ですね。
歯周病と他の病気との関連性
「歯周病になったら総入れ歯まっしぐら!」なんて事はよくいわれていますよね。
もちろん、総入れ歯にしなくてはいけないほど重症化すればという事ではありますが、歯周病は厄介な病気だと感じている方は少なくないでしょう。
しかも、歯周病はそれだけでは終わらないということがわかってきています。
歯周病には細菌の繁殖が大きく関わる事はよく知られていますが、この「細菌」が厄介者なのです。
歯周病も末期となると、歯茎が裂ける事がよくあります。
そこから細菌が体内に入ってしまうのです。
とはいえ、若くて健康な方であれば、この程度の細菌が体内のあちこちを通っても免疫力によってフォローできます。
ですから、歯周病=感染症の併発とはいえません。
ただ、病気や老化などによって免疫力が低下している方には、細菌の定着の可能性があるのです。
このような流れで起こりうる病気には、本当にたくさんのものがありますが、一例を紹介してみましょう。
まずは、糖尿病の悪化です。
糖尿病で血糖が安定していない方は、免疫力が低下しています。
歯肉が炎症を起こしている事だけでも糖尿病の悪化に繋がるので特に要注意です。
次に、敗血症や感染症心内膜炎です。
血管の中に細菌がまわると、菌血症に移行します。
術後や病後などは免疫力が低下しているので、普段以上に注意が必要になります。
最後に脳卒中。
細菌が動脈内膜にまわる事で、動脈硬化に繋がる可能性があり、脳卒中だけでなく、心疾患の危険性も高めます。
歯周病になっても、最悪、入れ歯にすればいいというわけにはいかないのですね。