動脈硬化と肥満の関係
動脈硬化は、血管の老化現象の一つです。
ですから、戦時中などの栄養状態が悪く寿命が短かった時代にはほとんどみられない病気でした。
ですが、戦後どんどん栄養状態が良くなり、寿命が伸びていくにつれて、その疾患率は驚くほど増え続けたのです。
老化現象ですから、寿命が伸びれば伸びるほど疾患率が上がるのは仕方ない面もあるのですが、実はそれよりも栄養過多による疾患率の方が増加しているといわれています。
動脈硬化は、血管の老化だけでなく、血液中にコレステロールが溜まることでも発症するのです。
つまり、血液中を余分なコレステロールが多く流れていると動脈硬化になりやすくなります。
それに当てはまる人というのは、一般的に栄養過多で脂肪分の多い食事をしている人がほとんどです。
そういう人は肥満体型に陥りやすいため、肥満の人は動脈硬化になりやすいといわれているのですね。
近年では、「動脈硬化は生活習慣病」といわれるようになり、糖尿病と並んで「肥満の人がかかる病気」という認識が広まっています。
もちろん、それだけが原因ではなく、加齢や飲酒の量が多すぎること、食物繊維やタンパク質の不足によっても起こりやすくなります。
ただ、様々な原因があるとはいえ、統計的にも肥満体質の人の疾患率がダントツに多いのも事実です。
肥満体質のまま年齢を重ねると、動脈硬化になるリスクが高くなってしまいます。
中年を過ぎたら、できるだけ低カロリーで栄養バランスのよい食事を心がけ、飲酒などもほどほどにしてください。
動脈硬化と高脂血症の関係
動脈硬化は、血管の老化によってどんどん進行していく病気です。
動脈の血管が固くなっていくことで、血管の弾力がなくなって詰まりやすくなったり、心臓に負担がかかったり、破れて出血しやすくなったりします。
この動脈硬化は、血管の老化現象であると同時に、生活習慣によって病状の進行速度が急激に早くなる特徴があります。
例えば、大量の飲酒、ストレス、喫煙、栄養状態、肥満などです。
特に、血液中にコレステロールが多いと、コレステロールが血管の内壁に沈着しやすくなり、その結果、動脈硬化が進行しやすくなります。
一方、高脂血症は、血液中に含まれるコレステロールや中性脂肪の量が、異常に高い状態になった病気です。
つまり、動脈硬化が進行する一番の原因となる血液中のコレステロールや中性脂肪が増えているわけですから、高脂血症と診断されるということは、動脈硬化が進行していると考えられます。
また、逆に、動脈硬化が進行している状態では、高脂血症である可能性が高いことになります。
さらに、肥満体型の人の場合には、血液中のコレステロールや中性脂肪・糖分が多いケースがほとんどなので、高脂血症や動脈硬化、またはその双方が進行しやすくなっています。
血液中のコレステロールを抑えるためには、食事内容の改善が必要です。
意識的に糖分や脂肪分の多い食事を控えることで、高脂血症も動脈硬化も進行を遅くすることができるでしょう。
動脈硬化と高血圧の関係
動脈硬化と高血圧は、切っても切れない関係だといわれています。
動脈硬化になると高血圧になるといわれており、逆に高血圧だと動脈硬化になるといわれているのです。
動脈硬化とは、動脈の内側に血液の不純物が堆積して血管が細く硬くなる病気です。
血管が細くなると動脈内を流れる血液の圧力が高くなりますし、血液が通りにくくなるので心臓に負担がかかるようになってしまいます。
一方、高血圧というのは、何らかの原因によって血管内の圧力が高くなる症状をいいます。
これはコレステロールが溜まるだけが原因ではなく、飲酒であったり、何らかの心臓疾患であったりと原因は様々です。
ですが、動脈硬化で動脈が細く硬くなると高血圧になりやすいのは事実ですし、高血圧になる人の血管が硬くなりやすいのも事実です。
このため、動脈硬化と高血圧はワンセットで考え、治療法や改善方法が提案されることが多いでしょう。
いずれにしても、この両者は「成人病」の代表で、生活習慣が大きく関係している病気です。
身体の老化にも起因する面が多々あるので、特に高齢者で肥満の人は気をつけなければならない病気ですね。
老化は已む無しとしても、生活習慣に起因する部分は、生活習慣を改善することで病状改善にも繋がるはずです。
生活改善の中でも食事内容がとても重要で、脂肪分や糖分を控えた栄養バランスの良い食事を心がけ、ダイエットをする事で病状の改善がみられることも少なくありません。