糖尿病と人工透析
糖尿病の合併症の中でも一番怖いのが糖尿病性腎症です。
なぜ怖いかというと、糖尿病から糖尿病性腎症になり、腎不全を起こすと、人工透析を受けなければならなくなるからです。
人工透析はほぼ1日おきに行わなければならず、金銭的にも肉体的にも精神的にも大きな負担が掛かります。
人工透析は1回の治療に3~5時間の時間が掛かり、それだけでかなりの制約を受ける事になります。
そして、一度、人工透析を受けなければならないようになると、一生続けなければなりません。
最近は、人の寿命よりも腎臓の寿命の方が短くなって、腎臓の生涯年齢が下がってきていると言われていますが、その主な原因は、糖尿病性腎症です。
糖尿病患者の方は、血糖値をきちんとコントロールする事が大切になります。
それで人工透析生活を避ける事が出来ます。
長い年月をかけて糖尿病性腎症になるものなので、とにかく、腎臓に負担を掛けない事が大事です。
糖尿病が健康診断などで見つかった場合は、日常の食生活や生活習慣を見直して、健康的な生活を送る事が最も重要な事なのです。
人工透析を受けなくてはならない状態とは、腎臓の働きが悪くなり、高血圧・むくみ・貧血などの症状から始まり、進行すると尿毒症になってしまいます。
こうなると、腎臓はダメージを受けているので、人工透析が必要になります。
そして、ひどくなると、毎日人工透析を受けなければならなくなってしまうので、糖尿病の改善に向けて血圧を下げ、塩分や糖分に気を付けて糖尿病性腎症の対策をしておきましょう。
糖尿病患者の免疫力
糖尿病の患者は、免疫力が弱っているため、風邪やインフルエンザにかかりやすくなります。
さらに、糖尿病を患っていると、風邪やインフルエンザの症状が重くなりやすく、治りにくくなります。
そして、体に強いストレスを与えるインフルエンザは血糖値のコントロールをいつもより難しくしてしまいます。
1型糖尿病の方は、インフルエンザや風邪に感染すると、特に危険な酸血症になってしまう事があるので、シックデイへの対策を立てておくことが大切です。
2型糖尿病の方はインスリンを使用していませんが、感染によって高血糖が起こったりするので注意が必要です。
シックデイというのは、糖尿病の方が食事が出来なくなるほどの発熱・下痢・嘔吐を起こす事です。
シックデイを起こすと、短時間で脱水や高血糖、酸血症になり、危険な状態になります。
シックデイが起こってしまった場合は、一刻も早く糖尿病専門医の治療を受けなければなりません。
糖尿病の方には、風邪やインフルエンザでも一歩間違えば命取りになりかねないため、予防が大事になってきます。
インフルエンザの予防には、ワクチン接種を受ける事です。
糖尿病患者全員のワクチン接種をアメリカ糖尿病協会では推奨しています。
ワクチン接種を受けておけば、感染しても症状が軽くてすみます。
外出後の手洗いやうがい、マスクの着用も大切です。
また、睡眠や食生活も免疫力に大きな影響を与えますので、規則正しい食事・睡眠を心がけましょう。
糖尿病が進行と動脈硬化
糖尿病の合併症として、高血圧や動脈硬化になる事があります。
糖尿病は予備軍も含めると、約2200万人以上もいるそうです。
これは誰でも掛かりうる、国民的病気と言ってもいいでしょう。
脳卒中や心筋梗塞などの病気も、糖尿病の進行が原因で動脈硬化が進み、発病するケースが多いのです。
軽い高血圧でも、糖尿病のある方は積極的に治療する事が大切です。
糖尿病の方が高血圧をそのままにしておくと、心臓に負担が掛かり、動脈硬化を進行させてしまう危険性が高くなります。
自覚症状が少ない高血圧は、そのままにしておきがちですが、適切な治療と定期的な検査を受けないと、動脈硬化へ進行してしまいます。
糖尿病と高血圧は、健康な人が1とすると、心臓病や脳疾患に及ぼす危険性は6~7になり、動脈硬化が起こりやすくなります。
以上のように、糖尿病が進行すると動脈硬化の合併症を起こしやすいという事はお分かりだと思いますが、動脈硬化とはどんなものなのでしょうか?細い血管がダメージを受けると、動脈などの太い血管もダメージを受けてしまいます。
そして、動脈の内壁が弱くなり、コレステロールが内壁に付きやすくなります。
そうなると、動脈で血液の流れが悪くなり、動脈の壁を破ってしまったりします。
このような状況を動脈硬化と言います。
また、糖尿病の方は足にも異常が出やすくなりますが、足にも動脈硬化が現れます。
最悪の場合は壊疽へと繋がります。
健康な人よりも、糖尿病を患っている方は10年も早く動脈硬化になりやすいそうなので、早めの治療が必要です。