内臓から来る口臭
「胃が悪いと口がくさくなる」と良く言われていますが、それって本当なのでしょうか?胃炎や胃潰瘍、十二指腸などの病気になると、食べた物が消化不良を起こし、胃の中で異常発酵します。
その結果、発酵したニオイが体内から発生し、口臭となって出てくる事があります。
また、腸の働きの低下や腸内に病気があると、腸内の細菌バランスが崩れて悪玉菌が増殖し、ニオイが発生します。
肝臓の働きが正常であれば、ニオイ物質が分解されてニオイは発生しませんが、肝炎などで肝臓の働きが低下してくると分解しきれないニオイ物質が血液を通り、口臭となる場合もあります。
重度の糖尿病でも、口臭が強くなると言われています。
理由の1つとして、口の中の唾液が不足し、口の中の細菌が増えてしまう為のようです。
糖尿病の人は歯周病になりやすい傾向にあると言うのも、こういった理由からでしょう。
また、糖尿病を発病すると、体内に「ケトン体」というものが出来ます。
このケトン体が呼気中に排泄されることで、糖尿病独特の甘酸っぱい独特の口臭を発すると言われています。
口臭の原因は、口の中の原因が一番多いのですが、このように内臓の疾患が原因で発生する口臭もあるのです。
口臭が気になっている場合には、まず口の中に原因がないかを調べ、次に内臓の疾患を疑ってみましょう。
もし、何か原因があったならば、治療をする事で口臭が気にならなくなる可能性もあります。
口臭と遺伝
口臭が遺伝するかどうかと言われれば、基本的に口臭は遺伝する事はありません。
ですが、ただひとつだけ、「魚臭症」という病気は遺伝する口臭だと言えるでしょう。
それは、魚臭症は口臭だけではなく、体臭もひどいからです。
口の中に異常がなくても臭いが発生してしまうこの病気は、臭いが発生するトリメチルアミンが分解されずに血液中に残ってしまい、皮膚や口腔内から魚の臭いがしてしまうのです。
魚臭症は尿まで魚の臭いがするので、あなたの口の臭いが遺伝による魚臭症なのかどうかは、すぐに判断がつくと思います。
また、家族の誰かの口臭が強く、自分の口臭も遺伝なのだと勘違いしている場合もあるようです。
ですが、家族と生活習慣や食生活が同じである場合には、家族と同じ口臭がするのは当然と言えば当然の事でしょう。
口臭は遺伝しませんが、歯並びは遺伝します。
歯磨きで磨き残す場所が多くなりそうな歯並びの悪さが遺伝していると、家族と同じような口臭になる事も考えられます。
歯並びの悪さが気になるようであれば、人一倍気をつけて磨き残しが無いような歯磨きの仕方を練習しましょう。
何れにしても、あなたの口臭を遺伝と勘違いして諦めたりしないで、日頃からきちんと口の中をケアする事が大切です。
そうする事で、おのずと口臭のほとんどは解消されるでしょう。
間違っても、家族の誰かのせいにしたり、八つ当たりしたりしないようにして下さいね。
口臭と歯周病、歯槽膿漏の関係
口臭の原因として考えられるのは、第一に口の中の問題があります。
歯周病や歯槽膿漏が炎症を起こしている場合、大きなムシ歯がある場合などに口臭は起こります。
口臭の原因となる物質には、メチルメルカプタン、硫化水素、ジメチルサルファイドと言う3種の硫黄化合物があり、これらは口の中の種々な細菌の代謝産物として口の中に存在しています。
この口臭の原因となる硫黄化合物を生み出す細菌は、ほとんどが嫌気(けんき)性菌と通性嫌気性菌で、歯周ポケットやムシ歯の穴の中、厚い舌苔の中に潜んでいます。
歯周病、歯槽膿漏の原因となる細菌は嫌気性菌です。
ですので、歯周病、歯槽膿漏の人は口が臭いと言われてしまうのです。
ちなみに、歯周病は歯のまわりが炎症を起こしたりする病気で、歯肉炎、歯周炎に分けられます。
歯肉炎は、歯肉(歯ぐき)の部分が炎症を起こしている状態です。
歯周炎は、歯の基礎部分である歯槽骨などが侵されていきます。
歯周炎の場合、歯自体が大丈夫でも歯を支えている部分が弱っていき、歯を失う危険性がとても高くなります。
中でも、炎症が進んで歯を支えている場所から膿が出ているものを歯槽膿漏と呼び、この歯槽膿漏による膿が口臭の原因にもなっています。
歯周病、歯槽膿漏は歯磨きにより予防が出来ます。
歯周病や歯槽膿漏による口臭で悩まないようにする為にも、普段からの歯磨きで予防する事が重要と言えるでしょう。