更年期障害には鍼治療の効果
更年期障害は、どんな症状がいつ現れるのかが人によってかなり違います。
主な症状としては、頭痛やめまい、動悸、むくみ、のぼせ、ほてりです。
その他にも、不安感やイライラを感じやすくなったり、無気力になってしまうこともあります。
これらの症状を不定愁訴と呼んでいます。
また、症状の重さにも個人差があり、不定愁訴に気が付かないほど軽い人もいますが、重症で治療が必要な人も少なくないのです。
更年期障害の効果的な治療方法の一つが鍼治療でしょう。
鍼治療は、その人の体全体の状態をみることができる治療法なので、どれか一つの症状に対して治療するのではなく、様々な諸症状に対して治療することができます。
さらに、鍼治療なら、個々の体質なども知ることができるでしょう。
鍼治療でみられる効果として、更年期障害の症状でよく出るのぼせや冷えの改善だけでなく、自立神経のバランスを調整してくれる効果や女性ホルモンの分泌促進なども期待できます。
他にも、血液循環を良くしてくれる作用があるので、血液を全身に運んでくれるはずです。
血液循環が良くなると、全身の筋肉の緊張が緩むため、精神的にもストレスを感じることなく、リラックスした状態を保つことができます。
更年期障害にはストレスをためず、リラックスすることも重要です。
ただ、鍼治療だけで更年期障害が100%治るとは限りません。
更年期障害の症状がとても重い場合には、他の治療や薬などと併用することも考えた方がいいでしょう。
また、日常の生活習慣の見直しや改善も必要になります。
若年性の更年期障害
更年期障害が起こる年齢は、平均的にみて閉経後である50歳前後であると言われています。
しかし、何らかの原因により、顔の火照りや全身からの発汗、頭痛、動悸、めまい、イライラをよく感じるなど、更年期障害の時に起こるような症状が20~30代の女性にみられるケースもあります。
このことを「若年性更年期障害」と呼んでいます。
現代社会では、女性の社会への進出が当たり前のこととなり、男性と同じように仕事をこなしていたり、共働きで子育て、仕事、家事をしなければならないという女性も増えていますよね。
そのせいで肉体的にも精神的にも疲労を感じ、日常生活を送る上でストレスをため込むことも多くなっているようです。
そのストレスの影響で女性ホルモンのバランスを崩してしまうことが、若年性更年期障害へと繋がっていくのです。
原因は仕事や日常で感じるストレスだけではありません。
最近では、女性の喫煙者数が増加している傾向にありますが、この喫煙も若年性更年期障害の症状を引き起こす原因の一つだと考えられています。
他の要因としては、過度なダイエットで短期間で無理に体重を落とそうとしたり、不規則な食生活を送ることなどがあげられます。
若年性更年期障害を防ぐためには、日常生活の改善が最も大切です。
まず、食事は自立神経のコントロールやホルモンの分泌に関係しているビタミンEを豊富に含む青魚やナッツ類などを積極的に摂取するようにしましょう。
また、適度な運動を心がけることも大事です。
デスクワークが中心ですと運動不足になりがちなので、一日30分程度のウォーキングから始め、慣れてきたらジョギングなども行ってみましょう。
ただ、ハード過ぎる運動は逆効果なので注意してください。
あとは、精神的なストレスをためこまないことです。
一人で抱えるとどんどん塞ぎがちになってしまうので、周囲の人や家族などに話すだけでもかなり楽になれるはずですよ。
更年期障害とうつ病の関係
現代社会のストレスや環境の変化により、更年期障害とうつ病を併発する女性が増えていると言われています。
更年期障害で悩んでいる人の約2割以上の女性が、実はうつ病でも同時に悩んでいるんだとか。
今まで更年期障害の症状としては、のぼせやイライラなどがあげられてきましたが、近年では無気力だったり、やたらと不安を感じることによる睡眠障害が起こるなど、精神症状も多く見られるようになりました。
更年期のせいだろうと放っておくと、気が付かない間にうつ病にもなっているなんてケースが多いようです。
そもそも、うつ病の症状自体が、更年期障害の症状とよく似ています。
更年期障害の治療を受けて、頭痛やめまい、全身の発汗、動悸、息切れなどの肉体的症状は良くなってきたものの、不安感やイライラなどの精神症状が良くならない場合もあるでしょう。
そんな時には我慢せずに、精神症状についても相談して、治療を受けてください。
更年期は、精神的にストレスを感じやすい時期でもあるのです。
何かに悩んだ時は、一人でその悩みを抱えこまず、誰かに相談する勇気を持ちましょう。
身近な人に相談できないのなら、プロであるカウンセラーを頼るのも一つの方法です。
一人で悩みを抱えていると、うつ病を併発することにもなりかねません。
また、更年期障害とうつ病を併発した場合、薬物療法や心療療法も大切ですが、最も重要なのは心身共に休むことです。
家事をする気力がないなら家事代行を頼むとか、症状が重いようなら入院してみるとか、時には思い切った方法も有効でしょう。